8
「満月の夜、月が頭上高く照り輝く時、天道あかねさんをお迎えに参上します。」
次の日の朝、いきなり天道家の居間に、一本の矢文が射抜かれた。
食卓を囲んで一家団欒していた俺たちは、度肝を抜かれた。矢は居間と縁側の間にある柱に見事に突き刺さったのだった。
誰かの悪戯というには、あまりに悪意に満ちている。その矢文は天道家の者達を不安に突き落とすのに恰好の材料になった。早雲おじさんは文を読むなり、顔面蒼白になりうろたえていたし、親父もオフクロもかすみさんもなびきも神妙な顔つきに変わった。もちろんあかねも不安げにPを抱いて震えていた。俺はわなわなと身体の奥底から怒りが湧き出すのを感じていた。
・・・矢文を打つなんて・・・何考えてやがる!!・・・
早雲おじさんは、ことの重大さにすっかり動揺し、その晩、天道家の居候諸氏を含めた武道に嗜みのある仲間を一同に集めて対策会議を開いた。
どのように、脅迫めいた文章に対応したら良いのか、様々な人の意見を聞きたかったのだろう。
具体的にメンバーを言うと、家長の早雲おじさん、次女のなびき、居候の俺たち父子と八宝斎のじじい、、九能先輩に東風先生、さっきまだPだった良牙、コロン婆さんとムリヤリくっつい てきたシャンプーとムース・・・。一癖も二癖もある連中だった。
俺のオフクロとかすみさんは、あかねを世話するためにその場には臨席していなかった。かすみさんが外されたのは、アガリ症の東風先生への配慮だったが・・・。
「あかねちゃんの記憶喪失には、何やら裏がありそうじゃのう・・・。」
いきさつをきいた八宝斎のじじいがポツッと言った。こいつの邪悪さからは同類の気が良く読めるのかもしれない・・・俺はそんなことを思っていた。
「僕も、実はとても気になってたんだよ・・・。いろいろな人体のツボを刺激してみたんだけど、何処を取っても、あかねちゃんの記憶が良くならないし、進展もないんだ・・・。」
東風先生は接骨医という立場から分析してみせた。
「仮説だけど、もしかしたらあかねちゃんの記憶喪失は誰かに仕組まれたことなのではないかなんて思えたりもしてね。」
東風先生は静かだが、鋭い口調でゆっくりと話していた。
「確かに、あかねさんの様子も尋常ではないな・・・眠っている時には何かに憑るつかれたように、うわ言ばかり言っているんだ・・・。」
Pとして一緒にいることの多い良牙も考え込んでいた。
「第一、矢文を放つなど不届き千万っ!非常識だっ!!」
非常識の塊のような九能までが非難めいたことを述べ始める。
「私としては、あかねがいなくなる・・・こんなに嬉しいことはないね。」
一人シャンプーだけが浮かれ調子に女の姿をしている俺にまとわりつきながらニコニコしていた。コロン婆さんも孫娘の彼女に同調するのかと思えば、意外にもシャンプーを窘(たしな)めたのだった。
「そうも、安穏としてはおられぬようじゃぞ・・・シャンプーよ。」
「なんであるか?ひい婆ちゃん・・・。あかねいなくなる、そしたら私、晴れて乱馬と結婚できる、こんな嬉しいことはないのに・・・。」
・・・俺は絶対おめえとは結婚しねえぞ・・・
俺はシャンプーの戯言を黙って聞き流しながら、コロン婆さんに向き直った。何か思い当たるような節が、婆さんの語尾から窺えたからだ。
「矢文の署名に月読(ツクヨミ)とあったのがちょっと気になってのう・・・。」
婆さんが考え込みながら言うと
「コロンちゃんもそれが気になったか・・・実はワシものう・・・。」
八宝斎のじじいまでが同調したのだ。
「なんだ?ツクヨミって・・・知ってるのか?爺さん、婆さん・・・。」
俺は思わず身を乗り出す。
「ツクヨミっていうのは、記紀神話に記載されている三貴神の一人の名前よ。」
なびきが、ふっと答えた。
「三貴神?」
俺はますますわからないといった表情で問い掛けると、
「天照(アマテラス)、月読(ツクヨミ)、須佐之男(スサノオ)の三柱の神々よ。これこらい高校生なら常識よ。」
なびきは小馬鹿にしたような表情で答えた。
「月読は「夜の食(お)す国」を治めていると言われておる。つまり暗黒の冥王ということになるのかのう・・・。実は神界などでいろいろ曰く付きの神なんじゃよ・・・。」
と八宝斎が嫌に神妙に答えた。
「神話上の神が実在する訳ねえじゃねえかよ・・・ふざけた名前使いやがって。」
俺は舌打ちしながら言い放った。
「いや、あながち実在しない訳でもないんじゃよ・・・それがのう。」
コロン婆さんがポロっとこぼした。
「この世はいろいろな亜空間と繋がりを持っておってのう、神話的世界も何処かに実在すると言われておるんじゃ・・・様々な伝説とともにのう・・・言い伝えられておる。」
婆さんは続ける。
「この世には我々の科学力や知識だけでは捉えられない不思議がまだたくさん散らばっておるのじゃよ・・・。ほれ、ここにも実例があろうて・・・。」
コロン婆さんは突然水の入ったコップを親父に向かって投げつけた。
「ばふぉふぉっ!」
親父はパンダに変身を遂げた。『何をする!』と看板を持って親父は抗議に出た。
「確かに理不尽な現象もたくさんあるわね・・・。」
なびきが頬杖をつきながら抑揚なく言ってのけた。
「どうやら、神話世界に何か起こっているのではないかと、最近気になっておったところじゃ・・・。」
コロン婆さんは腕組しながら言った。
「思い当たる節でもあるんですかな?」
早雲おじさんは納得が出来ない様子で婆さんに詰め寄った。
「いや、ワシの思い過ごしかもしれんのじゃが・・・のう、ハッピーよ、お主はどうじゃ?」
コロン婆さんに言葉をふられた八宝斎はいつになく真面目に答えた。
「乱れとるようじゃのう・・・。」
「お主も、やはりそう思うか・・・。」
老人同志、通じ合う者があるのか、黙り込んでしまった。
「ええいっ!勿体ぶらんで、我々にもわかるように説明せいっ!!」
まどろっこしさに耐えかねた九能がいきなり叫んだ。全く単細胞な奴だ。
一同、コロン婆さんと八宝斎の爺さんの言動に注目した。
「いや、どう言えばいいのか・・・この頃、陽の気と陰の気が激しくぶつかり合うのを感じるのじゃよ・・・。」
「そう、ワシらのように年齢を重ねると、普通の人間が感じ取れぬ気の乱れを肌に感じることができるのじゃよ・・・。ハッピーが言うように、何か我々の知れぬところで、激しく「気」が動いておるのを感じるのじゃよ。」
「下手をすると、この世も巻き込まれて消滅するやもしれぬ・・・それほどの危うさを孕んだ気が動いておる・・・。」
普段はスケベの権化の八宝斎までが様子がおかしいのだった。
「そうか・・・俺たちには何も感じないなあ・・・なあ、乱馬。」
良牙が口を開いた。
「・・・・・・。」
俺は黙り込んでしまった。
「いいや、婿殿は少しは感じておるのじゃろう?」
婆さんの言う事は核心を突いていた。
難しいことはわからねえが、気の乱れがあかねに危機をもたらしていることは察しがついたからだ。
「あかねの異変」・・・俺にとっての最大の関心事と言って良かった。
黙り込んでしまった俺を皆は意味深に見詰めてくる。
「とにかく、この気の乱れとあかねの記憶喪失と今回の矢文には関係があると?」
早雲おじさんが重い口を開いた。
「あるっ!」
八宝斎の爺さんとコロン婆さんは揃って言い切った。
「ワシらに細かいことまではわからぬが、このまま手を拱いている訳にもいかんじゃろう・・・。今は、満月の夜に迎えに来るという「月読」の浸入を阻止してあかね守ることが一番の対策となると思うが・・・どうじゃ?」
コロン婆さんの進言に異を唱える者はいなかった。
あかねを煙たがるシャンプーですら、「この世の崩壊」という言葉を耳にしてしぶしぶ婆さんの意見に同調したほどだ。
こうして、かぐや姫を守る如く、俺たちは満月の夜にあかねを奪いに来ると宣言して寄越した「月読」に対抗することを決めざるを得なくなったのだった。
9
あかねを守らねばならない満月の前の十四夜。
俺はオフクロに呼ばれた。
「乱馬、明日は総出であかねちゃんを守るって聴いたけど・・・。」
「ああ。守らないといけねえみたいだからな・・・。」
オフクロは俺の揺れる心を見透かしているような口ぶりだった。母親には叶わないと思うことが良くある。
「そうね、あなたはあかねちゃんの許婚。命にかえてでも守らなければなりません・・・。」
そうなのだ・・・死ぬ覚悟を持たねば、あかねを守りきることはできないだろう。死ぬのはもとより怖くねえ・・・俺が怖いのは只一つ・・・あかねを失うことだった。
相手が全くの未知数なので、それなりの心構えも必要だということは判っている。俺は、この前あかねの病室に現れた男が「月読」その者だったということも予感していた。あの不敵な 笑みとあかねを頂くと言い切った自信は恐らくハッタリではない。
「私も、今回のことは早乙女家のいいえ、無差別格闘流の試練だと思っています。もちろんあなたの試練でもあるわね。・・・恐らく、一筋縄ではいかないでしょう。乱馬、引くときは引きなさい・・・。」
オフクロは静かに続ける。俺は黙って一言ひとことに聞き入った。
「苦しい長い戦いになるかもしれないわ・・・でも、くじけちゃダメよ。乱馬。何度挑戦してもいい、時間をかけてもいい、勝って、必ず、あかねちゃんを元に戻してあげなさい・・・あなたにならきっとやり遂げられるはず。」
オフクロにはオフクロなりの直感が働いているのだろう。
「だから、ほら、これ。」
オフクロは微笑むと握り締めていた右手からくすんだ塊を一つ俺の掌に落した。
黒ずんだ小さな細いリングが掌にのっかっていた。
「これ・・・?」
「それはね、早乙女家の女に受け継がれる指輪なの・・・。もう、何代前から伝わっているのかわからないくらい古い物らしいわ・・・。光りも輝きもとうに失せた年代物ね。私もあなたの お婆さんから伝えてもらったわ。これをあかねちゃんに・・・。」
「あかねに?」
「本当は私から伝えるべきものだけど、あなたから伝えなさい・・・。今の彼女は記憶をなくして、苦しんでいるわ。それを支えるのも許婚のあなたの大切な役割。わかるわね。」
俺は手の中に収まった小さなリングを見詰めていた。
「これはね、早乙女家の女のお守りみたいなものなの・・・私もおまえと父さんと離れた時、これがあったから耐えることができたのよ。だから、きっとあかねちゃんを守ってくれるはずよ。離れていても心を繋ぐリング・・・リングには永遠に途切れない愛への想いが篭められているの。まだ、エンゲージリングやマリッジリングには早いけれどね。」
そう言って、オフクロは俺の肩を静かに叩いた。
それから俺はどうしたものかと考え倦んで、あかねの部屋の前に佇んだ。あかねは俺の気配を察したのか、ひょいっとドアを開けた。
「あのさ・・・。」
「なあに?乱子ちゃん。」
この時俺は女に変身したままだった。
オフクロから指輪を受け取ったときも女のままだった。今の天道家では乱馬ではなく乱子とし生息を余儀なくされている俺だったからだ。
あかねは不思議そうに俺の顔を覗く。
あかねは弓矢が打ち込まれて以来、怯えきって部屋から出ようともしないのだった。
部屋の中にはP(良牙)までいやがった。
「いいよ、なんでもない・・・。」
意気地のない俺は指輪を握り締めたまま、逃げるように立ち去った。
・・・情けねえよなあ・・・
俺はそのまま、道場へと逃げ込んだ。
そして、俺はそのまま電灯も点けないで一汗を流し始めた。こうでもしないと気持ちが収まらない。
「くそっ!!」
自分への不甲斐なさと拭い切れぬ満月への不安が交錯しながら俺を苦しめる。
「こんなじゃ、ダメだっ!」
オフクロは気を利かせてくれたつもりだろうが、当の俺がこのざまじゃああかねに何も声をかけられそうになかった。ホントは男に戻って、「俺が守ってやる」の一言が言いたいくせに。
俺の迷った気迫は闇雲に暗がりの道場を駆け抜ける。
その、暗がりの向こうに人影が見えた。
あかねだった。
「乱子ちゃん・・・ねえ。どうしたの?」
Pを抱いて、あかねが追いかけてきたのだった。
「いや・・・別に・・・なんでもねえよ。」
俺は震える声で弁解する。
「何か私に話しがあったんじゃあないの?」
あかねは円らな瞳を月明かりに揺らせながら道場へと踏み込んでくる。
「なんでもねえから・・・。」
俺は意固地になって、道場の出口に駆け出した。その時だ。
「あちっ!!」
何者かが頭上からお湯をぶっ掛けた。
俺の身体はみるみる男へと変化を遂げた。
目を上げると良牙がいた。
「男に戻って話したいことがあるんだろっ!」
「おめえに関係ねえだろ・・・。」
ふて腐れると良牙が胸元を掴んだ。
「つべこべ言うなっ!あかねさんは夜毎、寝入るとお前の名前をうわ言で呼び続けてるんだっ!!」
「え・・・?」
「だから、あかねさんは消された潜在意識の下で、必死でおまえに助けを求めてるんだっ!!馬鹿野郎!」
俺は良牙の言葉に耳を疑った。
・・・初めて訊いたぞ、そんな話し・・・。
「今なんて・・・」
そう問い返した時、良牙が叫んだ。
「だから、乱馬として決めて来いって言ってんだよっ!!」
俺はそのまま良牙の馬鹿力に気圧されて、あかねの前に突き飛ばされた。
10
突き飛ばされた俺はあかねの前に足から着地した。
道場は薄暗く、あかねは飛ばされてきたのが男の俺だとは気がつかないでいた。
「乱子ちゃんってば・・・。」
あかねは目の前にいるのが女の俺だと思っているらしい。
俺はあかねの気配に完全に身体が芯から緊張で固まってゆくのを感じていた。
あかねは目の前に立っているのが乱子ではないことに気がついたようだ。女の俺と男の俺では身長が全然違うから暗がりでもわかるといえばわかるだろう。
「あ、あなたは・・・。」
あかねは暗闇の中に立っているのが乱子ではなく、見知らぬ男の影だと気付いて、動揺しているようだった。
声が微かだが震えていた。
「あ、あの・・・。驚かして、ごめん。」
俺は咄嗟に謝っていた。月明かりが二人の影を蒼白く照らしだしていた。
お互いの心臓の鼓動が空気を通して聞こえてくるのではないかと思うほど、俺もあかねも緊張していた。
女のままの姿なら何も気にせず付いて出て来るあかねの言葉も固まっていた。俺も、情けないほど初心(うぶ)になり、言葉は全て胸の中で詰まる。
長い沈黙が二人を支配する。
「あの・・・。」
二人同時に言葉を重ねる。そして、また再び沈黙が降りてくる。
「あなた・・・は?」
あかねが震える声で微かに俺に問いかけた。
「早乙女乱馬・・・。おまえの許婚だよ。」
「許婚?」
不思議そうにあかねが訊いてきた。
「ああ、おまえの親父と俺の親父が勝手に宛がった許婚・・・だったけどな。」
「ふうん・・・。そうだったの。」
何故かあかねの声は寂しげに響いた。
「親が勝手に決めた許婚・・・それがあなたの正体だったのね。」
あかねの心が少し零(こぼ)れたように感じた。
「そう、おまえは勝気で、意地っ張りで、意固地で、突っ張ってた・・・。」
俺は固くなる身体を必死で支えながら話し掛ける。汗が額から溢れてくる。
「あなたは私のこと、そんな風にずっと見詰めてたのね・・・。」
あかねの心が激しく動揺しているのが俺には痛いほど伝わってきた。それは明かに悲しみの叫びだった。
・・・こいつ、やっぱり、俺のこと・・・
とたんにあかねへの愛しさが心で弾けた。我慢してきたいろいろな想いが一度に溢れ出して止まらなくなった。
次の瞬間、俺はあかねをしっかりと自分の胸に抱きしめていた。
「突っ張ってたのは俺も同じだから・・・。」
記憶をなくしたあかねに対して卑怯だと思ったが、溢れ出す感情をセーブすることが出来なかった。出会ってから今日までの俺の想いが心の底から次々と堰を切ったように流れ始める。
あかねは黙って俺の想いを受け入れる。あかねの心も静かに染み入るように俺に流れてくるのがわかった。
・・・絶対おまえを、・・・おまえを誰にも渡すもんかっ!!・・・
俺はこれ以上そのままでいるとどうにかなっちまいそうな気がして、抱きしめていたあかねから腕を離した。あかねは黙ったまま、澄んだ目で真っ直ぐに俺を見詰めていた。
俺は懐からオフクロから渡されたリングを取り出して、あかねの左手を取り、その薬指にそっとはめた。流れるようにリングはあかねの指に収まった。まるで測ったようにサイズはあかねにぴったりだった。あかねは指輪を見詰めて少しはにかんだように俯いた。
「この先はおまえの記憶が戻ったら、ちゃんと言うよ・・・。」
俺はそう声をかけるのがやっとだった。
「だから、それまで、これをおまえに・・・」
あかねはゆっくりと頷き返す。
そう言ってから、俺はあかねの顔に手を触れて、そっと左頬に唇を当てた。
本当は唇に当てたかったけれど、俺なりに我慢したのだ。
・・・おまえの記憶が戻ったら・・・今度はちゃんと・・・・・・
あかねの頬は柔らかかった。
回りに気配を感じて、俺は慌ててあかねから離れた。
見ると、白い例の犬が不思議そうな顔をしながら俺たちを覗き込んでいた。
「おいっ!びっくりさせんなよ・・・。」
俺は苦笑しながら犬に話し掛けた。犬はしきりに尾を振っている。俺は犬の頭にポンと平手を当ててから、あかねに向き直った。
「絶対、俺が守ってやるから・・・。おまえは俺の大切な許婚だから・・・。」
そう言い切って、俺は道場を駆け出して行った。
あかねは暫らく犬を撫でながら、俺を見送り、一人佇んでいたようだ。
外に出ると、朧月(おぼろつき)が雲の合間から妖しい光りを放ちながら、俺を照らし出す。
「やっと言ったか・・・のろまな奴め。」
道場の瓦屋根の上から良牙が声を掛けてきた。
「うるせーっ!このお節介めっ!」
俺は振り向きざまに、一言良牙に悪態を吐いた。
明日は満月。
つづく
注釈
「三貴神」について
伊耶那岐命(イザナギノミコト)が黄泉国(よもつくに)から帰り日向(ひむか)の阿波岐原(あわきはら)で禊(みそぎ)をしながら産んだ三柱の優れた神々。
天照(アマテラス)は高天原(たかまがはら)を統治し、月読(ツクヨミ)は夜の国を統治し、須佐之男(スサノオ)は海原を統治するように言われた。(結局、スサノオはイザナギの命に叛き、記紀神話は続いていきます)
尚、記紀神話に現れる神々は「柱(はしら)」という数え方をします。
三という数字は五、七とともに、中国の整数観念の影響下で古来から聖なる数と崇められていたようです。和歌が五や七の句数にこだわるのもこの考え方が元になっているという説もあるんですよ。
この先、月読(ツクヨミ)など記紀神話を元にした神を登場させる予定ですが、全て私の創作のキャラクターと考えてくださいネ。興味のある方は、「古事記」を読まれると面白いかも・・・。
個人的には岩波の大系本よりも新潮の集成本の方が解説もわかり易いし、訳文も至れりつくせりでオススメです。
「リング」について
婚約指輪(エンゲージリング)や結婚指輪(マリッジリング)は左手の薬指のはめますが、これはヨーロッパあたりの風習から派生したようですね。
リングは文字どおり永遠に切れることなく輪を形成していますから、永遠の愛を誓う道具のひとつになったのかも。
左手の薬指にはめるのは心臓に繋がった指と思われていたことがもとになっているとか。
また、試してほしんですが、親指は爪を手前に向けてくっつけて、他の指を第一関節から第二関節の間をピッタリくっつけた状態で、胸の前で組んでみてください。(親指を立てたグーをくっつけるような形)
左右の人差指を指紋のところをくっつけて立ててみてください。(中指、薬指、小指はそのままグーの形でくっつけておいてね。)
人差指をゆっくりと離してみましょう・・・離れますね・・・
次は中指同志を立ててみましょう。(人差指、薬指、小指はグーですよ)そして同じように離しましょう・・・離れます・・・
ところが、薬指は・・・離れません・・・、小指は離れます。
そうなんです、薬指は引き離そうとしても離れない指・・・ということで心臓に近い左の薬指にリングをつけるという説もあるんですよね・・・。なんか不思議でしょ?
(c)2003 Ichinose Keiko